ドナルド・トランプ米大統領は、中国の習近平国家主席への便宜として、通信機器プロバイダーのZTEの事業継続を図るためこの取引を行った。
そう語ったのは、大統領補佐官、通商産業政策局長、ホワイトハウス国家通商会議局長を務めており、事情を知る立場にあるピーター・ナバロ氏だ。
ナバロ氏は日曜日のFOXニュースのインタビューでこの好意を明らかにし、「中国の通信会社ZTEが我が国の制裁措置、北朝鮮およびイランとの取引禁止措置に違反し、深刻な国家安全保障上のリスクとみなされたにもかかわらず、トランプ大統領が同社に対する制裁を解除するという決定をどう説明するのか?一体なぜ我々はそんなことをするだろうか?」と問われた。
ナバロ氏はこれに対し、ウィルバー・ロス商務長官のほうが「行われた非常に厳しい交渉の詳細」についての見識を得るのにより適した情報源だと述べ、さらに次のように付け加えた。
「シンガポール」とはトランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長との本日の会談を指し、「より大きな努力」とは中国と米国の間で互いの市場へのアクセスをめぐる進行中の交渉を指している。
米国は、度重なる貿易規制違反を理由に、ZTEに対し7年間の米国企業との取引禁止措置を発動し、事実上、ZTEを機能不全に陥れた。ZTEはこれに対し、企業としての活動を停止させるという手段に出たものの、最終的に合意に至り、14億ドルの罰金の支払い、取締役会の解任、そしてコンプライアンス検査官による24時間365日の業務調査の実施という米国の要求を受け入れた。
ドナルド・トランプ大統領、中国のZTEで製造業の雇用を守る
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トランプ大統領はこれまで、米国の雇用を守りたいという思いと、貿易交渉でZTEを交渉材料として利用したいという思いの間で揺れ動いていた。
現在、米国大統領は中国の習近平国家主席が何らかのまだ明らかにされていない方法で恩返しをしてくれることを期待しているようだ。
米国企業は、中国への投資が事実上締め出されていることを嘆いている。中国への投資には、現地企業との合弁事業の締結や企業秘密の開示も必要となる。いずれかの制限が緩和されれば、米国では歓迎される可能性が高く、トランプ大統領にとって政策的にも政治的にも勝利となるだろう。
米国大統領は、自分は比類なき交渉力と人心掌握力を持つ人物だと主張している。習近平国家主席のZTEに対する姿勢は、その主張を証明する上で大きな役割を果たすだろう。®