マイクロソフトは、同社のローコードアプリケーションビルダー「PowerApps」を使って作成されたプログラムに、ある程度の人工知能を組み込むビジュアルツール「AI Builder」を開発した。
PowerAppsは、MicrosoftがPower Platformと呼ぶクラウドサービス群の一部です。この群には、ビジネスインテリジェンスを提供するPower BIと、プロセスを自動化するMicrosoft Flowも含まれています。Power Platformは、Dynamics 365(CRM、マーケティング、サービス管理、会計、財務、運用のためのソフトウェア)を含むビジネスアプリケーションスイートの一部です。
AI Builder を使用して画像検出をトレーニングします...クリックして拡大
この新しいツールは、今週米国アトランタで開催されている Microsoft Business Applications Summit でプレビューされました。
基調講演では、ペプシコーラのボトリングと配送を手掛けるG&Jペプシが、この技術の活用例として紹介されました。同社の担当者は店舗を訪問し、様々なラインの在庫数を数える必要があります。この炭酸飲料大手は、店内で撮影した写真に基づいて在庫を識別・数えることができるモバイルアプリケーションを開発しました。マイクロソフトによると、この種のアプリケーションは、製品ラインを定義し、サンプル画像をアップロードしてAIをトレーニングすることで、AI Builderで自分で作成できるとのことです。さらに、PowerAppsの新しいコントロールを使用して、モバイルアプリケーションに画像分析機能を追加することも可能です。また、Microsoft Flowと統合することで、例えば在庫が少なくなった際に追加注文を促すメッセージを表示することも可能です。
単純に聞こえるかもしれませんが、すべてのアイテムが見やすい場所にあればうまくいくかもしれません。
もう一つの新サービスはPowerApps Portalsです。PowerAppsと同じドラッグアンドドロップによるアプリ構築モデルで顧客ポータルを作成できます。「これらの新機能により、アプリ開発者は既成のテンプレートを使ってゼロからウェブサイトを作成し、その後、フォーム、ビュー、ダッシュボードなどのコンポーネントを使ってレイアウトやコンテンツをカスタマイズできるようになります」と、マイクロソフトのビジネスアプリケーション担当副社長、ジェームズ・フィリップス氏は述べています。
PowerApps と Microsoft Flow は、Azure Blockchain サービスに接続して、出所証明の提供やサプライ チェーンにおける不正行為の削減などの「証明可能なワークフロー」を実現できるようになります。
橋を架ける
ローコードが流行しており、マイクロソフトは長年にわたりクラウド時代に合わせてVisual Basicを再構築する様々な方法(Visual Studio LightSwitch、Project Siena、Touch Developなど)を試行錯誤した結果、PowerAppsに落ち着きました。PowerAppsは、レドモンドのCommon Data Service(Dynamic 365アプリケーションからデータをクエリおよび取得する手段)と連携するWebアプリおよびモバイルアプリを構築するためのWebベースツールです。PowerAppsポータルもCommon Data Serviceを基盤としています。
Power BI は、Office 365 スタイルに合わせた新しい外観と新機能を搭載します。以前はプレビュー版だったテキストおよび画像分析機能が、Power BI で一般提供を開始しました。また、新しいエンティティ検出機能と手書き認識機能、分布の変化や分解ツリーといった新しい視覚化機能も追加されています。自然言語クエリの使用機能が拡張され、独自のビジネス用語を追加できるようになりました。
マイクロソフトは、営業と顧客サポートに拡張現実(AR)を活用したDynamics 365ソリューションを4つ紹介しました。Remote Assist、Layout(オフィススペースなどのプランニング用)、モバイルデバイスでARを活用して営業デモを行うProduct Visualize、そしてHoloLensを活用した現場でのAR指示を行うGuidesです。
これらの新機能への早期アクセスは 8 月 2 日に予定されており、一般提供は 2019 年 10 月に予定されています。
Dynamics 365には、実際に使用したことがある人なら誰でも知っているように、特有の癖があります。例えば、このCRM製品には、オンプレミスアプリケーションとしての長い歴史から生じた多くの欠陥があります。各種サブスクリプションプランはOffice 365に比べて高価に感じられますが、それでもOffice 365の成功を背景にビジネスは成長を続けています。Power BIは人気のデータ視覚化ツールで、Microsoftによると、現在毎月20PB以上のデータがPower BIに取り込まれています。
PowerAppsも人気を集めており、Microsoftによると、本番環境向けアプリの数は年間7倍に増加しています。重要なのは統合であり、MicrosoftがOffice 365とAzure Active Directoryへの企業依存を維持できれば、これらの追加アプリケーションを積極的に推進していくことができます。とはいえ、顧客はMicrosoftに対し、PowerAppsにボトルカウントなどのAI機能を追加するよりも、Dynamics CRMの長年の問題点や複雑な問題の解決に時間をかけることを望んでいるはずです。®