半導体の学校?Arm、半導体人材不足への対応に着手

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半導体の学校?Arm、半導体人材不足への対応に着手

チップ設計企業のArmは、次世代の才能を見つけ、既存の労働力のスキルアップを支援することを目的とした取り組みを通じて、半導体業界における重要なスキルの不足に対処しようとしている。

半導体教育連盟(SEA)という世界的な取り組みは、業界全体から同じ考えを持つ企業を集め、多くの国が半導体産業の再活性化を目指しているまさにその時に、適切な専門知識を持つ労働者の不足が成長を妨げないようにすることを目指しています。

Armのセントラルエンジニアリング担当エグゼクティブバイスプレジデント、ゲイリー・キャンベル氏は、今回の提携はArmおよび業界全体における既存の合意やワークストリームを基盤とし、新たなものも生み出すものだと述べた。キャンベル氏は、この提携をArmの既存の教育モデルの進化形と表現し、Armはその中で調整役を担うと考えていると述べた。

この構想は、キャンベル氏が「連合型オープンモデル」と呼ぶ、様々なフォーラムを通じてアライアンスメンバーがリソースとノウハウを共有するというものです。これは、教師、研究者、学生がリソースにアクセスし、研究助成金の共同申請などのプロジェクトで協力できるようにすることを目的としています。

Armが電子設計自動化(EDA)分野の企業と共同で開発している、最先端のツールを使用したチップ設計の教育リソースなど、いくつかのプロジェクトはすでに進行中と言われている。

また、学術界向けのシステムオンチップ(SoC)設計プラットフォームもあり、Armなどの最新の半導体製造技術や、コンピューターエンジニアリングと情報科学の新たな遠隔教育ソリューションへのアクセスを提供します。

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アメリカの半導体産業への野望における問題点:人員が足りない

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SEAに参加している他の企業としては、シングルボードコンピュータメーカーのArduino、EDA開発会社のCadence、STMicroelectronics、Synopsys、Semiconductor Research Corporation、ニューヨークのコーネル大学、台湾セミコンダクター研究所、全インド技術教育評議会、英国のサウサンプトン大学などがある。

「半導体教育同盟は、共通の目標、共有リソース、ベストプラクティスのコミュニティを中心に業界をより良く連携させ、今日の進歩を脅かすスキルギャップに取り組むことを目指しています」とキャンベル氏は述べた。

世界各国が、アジア製チップへの依存を制限し、また新型コロナウイルス感染症のパンデミックのような世界的混乱が発生した場合に供給ラインを確保するため、自国の半導体産業の強化を図ろうとするなか、技能不足が深刻化している。

アーム社の半導体教育アライアンスを支援する教育慈善団体、英国エレクトロニクス技能財団(UKESF)によると、英国ではイノベーションと進歩を推進できる大学院卒のエンジニアが不足している。

同報告書によると、2021年に電子工学および電気工学の学位課程に登録した学生はわずか3,245人であり、チップ設計に関わる英国企業の80%以上で欠員が残っているという。

UKESFは、有能な人材に対する需要が熾烈であることから、世界的な競争もその一因となっており、米国を含む他国はすでに熟練労働者の誘致に多額の投資を行っていると指摘した。

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同団体は、英国政府が5月に国家半導体戦略を発表した際に、中等教育において電子工学にもっと重点を置く必要があるとして、この問題への取り組みを強化するよう政府に要請した。

「地元出身の人材を育成するには、まず学校から始める必要があります。中等学校で電子工学と半導体に関する意識を高め、知識と関心を高める必要があります」と、CEOのスチュワート・エドモンドソンは述べた。「英国経済社会基金(UKESF)の実績ある活動を通じて、国内の人材プールを育成するために政府に投資してもらう必要があります。」

もちろんこれは英国だけの問題ではなく、米国の半導体工業会(SIA)は今週、英国の半導体産業は2030年までに6万7000人の技術者、エンジニア、コンピューター科学者の不足に直面すると主張する報告書を発表した。

これは、520億ドルのCHIPS法の下で米国が国内の半導体製造能力を高める取り組みにとって問題となる可能性があるが、昨年の報道にあるように、中西部の多くの大学がすでにこの問題について自主的に対策を講じている。

同様に、今週欧州理事会で最終承認された430億ユーロ(474億ドル)の欧州半導体法案の明示された目的の一つは、技能不足に対処し、新たな人材を誘致し、熟練労働力の出現を支援して、欧州の半導体産業基盤を強化することである。

ロイター通信は中国半導体産業協会(CSIA)の白書を引用し、中国でさえ今年は推定20万人の業界労働者不足に直面すると伝えている。

コンサルタント会社デロイトによれば、半導体業界の需要を満たすには、世界中で100万人以上の熟練労働者が追加で必要になるという。

デロイトによると、半導体業界は長年にわたり大学や工科大学と連携してきた。今後、企業は地元の技術学校、専門学校、コミュニティカレッジ、そして米国の国立科学財団のような他の組織とも連携を深める必要がある。®

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