新しい研究によると、ブラックホールは結局ドーナツのような形ではなく、実際には噴水のような形をしているそうです。
「これまでの理論モデルは、ドーナツ状の硬い物体を前提としていました」と、鹿児島大学の理論物理学教授である和田恵一氏は述べています。科学者たちは、周囲の物質がブラックホールの空隙に吸い込まれると、ブラックホールの周りに積み重なり、ドーナツのような構造を形成すると考えていました。
しかし、天体物理学ジャーナルに掲載された論文によると、ガス粒子は噴出しており、降着円盤内にしっかりと固定されているわけではないことが示されています。研究者たちは、地球から1400万光年離れたサーキュラス銀河にある超大質量ブラックホールを、66基の電波望遠鏡からなる天体干渉計ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)を用いて観測しました。この銀河には活動銀河核(AGN)があり、これは貪欲なブラックホールが物質を貪り食うことで生み出される光エネルギー源です。
彼らは、スーパーコンピューターを用いてシミュレーションしたブラックホールのモデルと、その発見を比較しました。「私たちのシミュレーションは、仮定から始めるのではなく、物理方程式から出発し、ガス循環が自然にドーナツ型を形成することを初めて示しました。また、このシミュレーションは、この系の様々な観測的特徴を説明することもできます。」
しかし、その「ドーナツ」は硬いものではなく、多くの異なるガス体で構成されています。冷たい分子ガスがブラックホールに吸い込まれると、降着円盤が形成されます。ブラックホールが深淵に近づくにつれて、ガスは加熱され、分子は電離します。原子は円盤の上下に曲げられ、噴水から水が噴き出すように、円盤に激しく衝突します。まるで巨大な殺人噴水です。
噴水のような構造を作り出すプロセス。画像提供:Wada et al.
「放射駆動型ファウンテンスキームに基づくモデル予測との比較により、原子流出が原子円盤の幾何学的厚さの駆動力となっていることが示唆されました。これは、このAGN近傍における放射駆動型ファウンテンスキームの妥当性を支持するものであり、長年の謎であったAGNトーラスの物理的起源を説明するものとなるでしょう」と論文の要旨には記されています。®