ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ゼロックス社は335億ドルの買収提案を成立させるため、HPの取締役会に最大11人の取締役を指名する準備を進めている。
ゼロックスはここ数週間でHPの株式を少量取得しており、これによりHPの今夏の年次株主総会で取締役を指名することが可能になった。指名の締め切りは金曜日となっている。
この交渉は2ヶ月前に公になった。ゼロックスが、HPの株式1株につきゼロックス株0.136株、合計330億ドルの現金で、はるかに規模の大きいライバル企業を買収しようと提案したのだ。HPは、提示額が低すぎると述べ、ゼロックスの資金調達能力に疑問を呈し、この申し出を拒否した。
これに対し、ゼロックスは今月初めに240億ドルの借入資金を確保したと発表した。しかし、HPは再びこの提案を拒否し、ゼロックスの事業価値を「著しく過小評価している」と改めて主張した。
この不平等な関係の結婚は、両社の株式を保有する企業買収者のカール・アイチャン氏によって支援されている。アイチャン氏はゼロックス株10.85%、HP株4.24%を保有している。
この動きはHPに買収交渉のプレッシャーをかけるとともに、ゼロックスがHP株主に直接株式公開買い付け(TOB)を行う機会を与える。候補者指名の投票は、合併案に関する代理投票の役割も果たし、買収に賛成する取締役を複数選任する可能性がある。
ゼロックス社は、この買収は双方にとって有益であり、レバレッジド・バイアウトによる20億ドル相当の相乗効果の節約、10億ドルから15億ドルの「潜在的成長機会」、HP株主への現金還元、そして「大幅な株式上昇」が生まれると主張している。
HPからゼロックスへ:いいえ、あなたの335億ドルの入札額は当社の評価額を下回っています
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これに対しHPは、ゼロックスの売上高が102億ドルから92億ドル(2018年6月以降の12ヶ月ベース)に減少していることを踏まえ、同社の将来見通しに懸念を表明した。また、今回の買収により、合併後のゼロックスは多額の負債を抱えることになると述べた。
HPは、印刷サプライ事業の不確実性により2018年の業績が低迷しているにもかかわらず、ゼロックスは不要だと断固として主張している。11月に就任した新CEO、エンリケ・ロレス氏は、9,000人の人員削減、印刷戦略の見直し、そして50億ドル規模の自社株買いを含む組織再編を打ち出した。
ゼロックス社とHP社はThe Registerのコメント要請に応じなかった。®